物と人、動きと踊り、距離と時間…。
様々な関係を3人のパフォーマーが身体で計り、[斑]な世界を描き出す。
身体を多面的に捉える振付家・岩渕貞太が2014年に発表し話題を呼んだ代表作をＴＰＡＭ開催中の横浜で再演。
自身の身体と音楽や空間などとの関係をテーマに多くの作品を発表してきた岩渕貞太。本作では動き続ける3人のパフォーマー、光、音が互いに影響し合いながら時間を積み上げ、淡く揺らぎ続ける境界を舞台空間に描きます。時間の経過と共に質感を繊細に振付された身体で、即興的な判断を交え動き続けるパフォーマー。空間全体を捉えて動く光や音が、作品世界を立体的に立ち上げます。
岩渕は強い身体性を持ちながら、身体・音楽・照明・美術のすべてを腑分けするかのごとき作業を繰り返してジリジリと本質を探り、作品に織り込んできた。非効率的だが、一通りの実験を経過したダンス界において、これはじつに新鮮な身体的挑戦者として異彩を放っている。
『斑（ふ）』は、豊穣な時間であると同時に、リスキーな舞台でもあった。ほぼ即興で緊密な空間を保ち続けなければならないため、刹那の迷いが空間を崩壊させる。共演した北川結と小暮香帆は岩渕の動きを深く理解したうえで自分の持ち味を載せ、創作過程における意思疎通の充実ぶりを示した。この舞台は一般の観客のみならず、ダンサーや振付家にも多くの刺激と示唆を与える舞台なのである。
Directed / Choreographed / Performance by –
岩渕貞太 Teita IWABUCHI
1980年神奈川県生まれ。2005年より、「身体の構造」や「空間や音楽と身体の相互作用」に着目した振付作品を発表する。2010年から大谷能生や蓮沼執太など音楽家と共に身体と音楽の関係性をめぐる実験作を継続的に発表。その他にもア二メーション作家・現代美術家など、他ジャンルの作家とのコラボレーションにも精力的に取り組んでいる。世田谷美術館のエントランス、横浜美術館グランド・ギャラリー、六本木アートナイトでの野外公演など劇場外でも空間の特性を活かしたパフォーマンスを発表。その他ワークショップの開催など多方面で活躍している。関かおりとの共同振付作品『Hetero』で、横浜ダンスコレクションEX2012「若手振付家のための在日フランス大使館賞」を受賞。急な坂スタジオレジデントアーティスト。アトリエ劇研アソシエイトアーティスト。
Performer –
小暮香帆 Kaho KOGURE
ダンサー、振付家。平成元年生まれ。6歳よりモダンバレエを始める。これまでダンサーとして笠井叡、笠井瑞丈×上村なおか、三浦宏之、岩淵多喜子、岩渕貞太など多数振付家作品に出演。国内のほか、イタリア、インドネシア、メキシコツアーに参加。2012年日本女子体育大学卒業後、本格的にソロ活動を開始。2013年初ソロ公演「遥かエリチェ」を発表。また舞台のみならずLIVE、映画、映像作品に出演するなど、活動は多岐にわたる。第2回セッション・ベスト賞受賞。2015年横浜ダンスコレクションEX2015 コンペディションⅠ 奨励賞受賞。めぐりめぐるものを大切にして踊っている。
Performer –
北川結 Yu KITAGAWA
6歳よりモダンバレエを武藤三保子に習う。桜美林大学にて、コンテンポラリーダンスを木佐貫邦子に師事。2008年より白神ももこ主宰のモモンガ・コンプレックスにメンバーとして参加。以後、ほぼ全ての作品に出演する。2011年より21世紀ゲバゲバ舞踊団でも活動を開始。所属カンパニーの他に、木佐貫邦子、伊藤千枝（珍しいキノコ舞踊団）、岩渕貞太、酒井幸菜、Tristan Sharpsなど、国内外様々な振付家・演出家の作品に出演する。 2014年より、作品制作をはじめる。
会場 Theater
のげシャーレ（横浜にぎわい座B2F） Noge Schale (Yokohama Nigiwai-za B2F)
横浜市中区野毛町3-110-1
構成・振付 Directed / Choreographed
岩渕貞太 Teita IWABUCHI
音響 Sound Design
堤田祐史 Yuji TSUTSUMIDA (WHITELIGHT）
照明 Lighting Design
木藤歩 Ayumi KITO
プロダクションデザイン Production Design
細川浩伸 Hironobu HOSOKAWA
プロダクションマネジメント Production Management
米原晶子 Akiko YONEHARA
協力
横浜ダンスコレクション2016
モモンガ・コンプレックス
協力
公益財団法人アサヒグループ芸術文化財団
公益財団法人全国税理士共栄会文化財団
主催
岩渕貞太 身体地図
急な坂スタジオ
